読書の仕方を考える
こんにちは。明倫館小鹿教室の永倉です。
みなさんは最近、本を読みましたか?
学校で「読書の時間」がある人もいれば、
スマホでニュースやSNSを読むのが中心という人もいるでしょう。
けれど「読む」という行為には、
単なる情報の取得以上の意味があります。
今日は、「読書の仕方」について、書いてみたいと思います。

■ 「読む」とは、ただ文字を追うことではない
読書というと、多くの人は「たくさん読む」ことを意識します。
確かに量を読むことは大切です。
しかし、もっと大事なのはどう読むかです。
例えば、国語の教科書に出てくる作品を思い出してください。
同じ文章を読んでいても、
感想が人によって全然違いますよね。
「主人公がかわいそうだった」と感じる人もいれば、
「いや、成長の物語だ」と考える人もいる。
この違いを生むのは、「自分の頭で考えて読む」姿勢です。
つまり、読書とは「文字を読むこと」ではなく、「考えながら読むこと」です。
そして「その考えを自分の言葉で整理すること」まで含めて、
初めて本当の意味で読んだと言えるのです。
■ 「3つの読み方」で本を深く味わう
では、具体的にどうすれば考えながら読めるのか。
明倫館では、次の3ステップ読書法をおすすめしています。
①【理解の読書】― まずは内容をつかむ
最初の段階では、難しいことを考えすぎず、
内容をざっくりとつかみましょう。
登場人物は誰?
どんな出来事が起きた?
どんな問題やテーマがある?
これらを整理するだけでも、
文章の全体像がつかめます。
これは、地図を描く段階です。
全体の流れを理解することが、
次のステップに進むための土台になります。
②【思考の読書】 答えのない問いを立てる
次は、「なぜ?」を自分に問いかけながら読む段階です。
たとえば、
なぜ主人公はその選択をしたのか?
作者は何を伝えたかったのか?
自分ならどう感じただろう?
こうした問いを立てながら読むと、
物語の中に自分が入り込み、
登場人物と一緒に考えることができます。
この段階では正解はありません。
読書とは、答えを探す旅ではなく、
問いを見つける旅なのです。
③【対話の読書】― 自分と本が対話する
最後に、読書を「自分との対話」にまで高めましょう。
「この本を通して、自分は何を感じたか?」
「自分の考えはどう変わったか?」
そうやって考えた瞬間、
本は他人の言葉から自分の経験に変わります。
たとえば『走れメロス』を読んで、
「友情って素敵だな」で終わるのではなく、
「自分なら、友達のために走れるだろうか?」と考えてみる。
そうすると、物語が自分ごとになり、
読書が心に残る体験になります。
■ 読書ノートをつける意味
考えながら読むために、
ぜひ、「読書ノート」をつけてみてください。
ただし、「あらすじを書くノート」ではありません。
書くことは、自分の気づき・疑問・心の動きです。
たとえば、
「この場面の主人公の行動が理解できない」
「自分も同じ状況なら同じことをしたと思う」
「このセリフは現実にも当てはまる気がする」
こうした言葉を書き留めておくだけで、
読書の質はぐんと上がります。
そして後から読み返すと、
自分がどう考えていたかが見えてきます。
それは、自分の成長記録でもあるのです。
■ 速く読むより、「深く」読む
最近は「速読」という言葉をよく耳にします。
もちろん速く読むスキルも大切です。
テストは時間との勝負ですからね。
しかし、普段の読書では「スピード」よりも
「深さ」を意識してほしいと思います。
本を一冊読み終えることが目的ではなく、
「一冊の本からどれだけ多くを学び取れるか」が大事です。
たとえ10ページでも、
本気で考えながら読めば、
1冊読むよりも大きな学びになります。
■ 読書がもたらす3つの力
では、考える読書を続けると、どんな力がつくのでしょうか。
① 思考力
本を読み、問いを立てることで「考える筋肉」が鍛えられます。
これは、国語だけでなく、
数学の文章題や社会の記述問題にも生きてきます。
② 表現力
読んだことを自分の言葉でまとめる練習をすることで、
文章力が上がります。
特に高校入試の作文や小論文、
面接などでは大きな武器になります。
③ 共感力
登場人物の心情を想像する力は、
「人の気持ちを理解する力」につながります。
人間関係の中でも、
相手の立場に立って考える姿勢を育てます。
■ 「読書=自分を広げる時間」
読書は、世界を広げるだけでなく、
自分を深める行為です。
本の中には、
自分とは違う考え方、生き方、時代背景、価値観が詰まっています。
それに触れることで、「自分の考えは絶対ではない」と気づき、
柔軟な視点を持てるようになります。
「知識を増やす勉強」と同じくらい、
「考える読書」をしてほしい。
本を読むことで、
心を育て、感性を磨き、人生を豊かにする。
それこそが、勉強の本当の目的でもあるのです。
■ 最後に
読書の仕方に「正解」はありません。
しかし、「何のために読むのか」を意識することで、
読書は確実に変わります。
もし、最近あまり本を読んでいないなら、
まずは1冊、気になる本を手に取ってみてください。
そしてページをめくるたびに、
自分に問いかけてみてください。
「自分は、この言葉から何を感じるだろう?」
その一冊が、あなたの世界を変えるかもしれません。
今日から、「考える読書」を始めてみましょう。
本は、あなたの最高の先生となります。


